クールな同期と熱愛はじめ
「悠里さん、今夜こそ合コン行きましょうよ、合コン」
私のパソコンの向こうから顔を覗かせたのは、三つ年下の後輩、岡田さんだ。
桜木くんの後任として異動してきた。
「名前で呼ばないの。ここは会社なんだから。“宇佐美さん”ね、岡田さん」
「はーい」
気のない返事をしながら、なおもしつこく「合コンに行きましょうよ」と連呼する。
「岡田は、ほんと宇佐美のことがお気に入りなんだなぁ。宇佐美もいい加減に折れて、一度くらい合コンに顔出してやれよ」
越川さんがからかって笑う。
「悠里さんみたいな美人さんが来るとなれば、男性側のメンバーも集めやすいんです。お願いしますよー」
岡田さんは両手をパンパンと二回叩き、軽く頭を下げた。神様への参拝みたいだ。
三十歳にもなって合コンの主要メンバーが務まるはずもない。引き立て役になるのが関の山だ。