クールな同期と熱愛はじめ

「え? あの、どこにですか?」

「打ち合わせ、打ち合わせ」


適当な理由を付けた。

岸本部長にもひと言断りを入れ、会社の前からタクシーに乗り込む。行き先は、雑誌に載っている建築中の劇場だ。

これを私に送ってきたのは、きっと桜木くんだろう。ほかに思い当たる人はいない。
だとすれば、桜木くんは今日ここにいるはずだ。

この記事を介して、彼が私を呼んでいる。
自惚れに過ぎないかもしれないけれど、そう思った。

四十分ほどして着いた現場は鉄製の壁に囲まれ、中を窺うことができない。


「あの、すみません……」


入口と思われる門のところに建つ守衛に声を掛ける。
その守衛は、「お疲れさまです」と右手を上げて敬礼した。


「中に入ることはできませんか?」

「申し訳ございませんが、関係者以外は……」

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