クールな同期と熱愛はじめ

私はいつだって空回りだ。頑張っても頑張っても、結果はなにひとつついてこない。

鼻の穴がひくひくとして、目の奥が熱くなる。涙がこぼれる準備が万端に整ってしまった。

これ以上ここにいたら、桜木くんに泣き顔まで見られるはめになる。そんなことは絶対にいやだ。こんな気持ちのまま合コンにはいられない。
今夜はこのまま帰ろう。

桜木くんの脇をすり抜けようとしたときだった。私の進路を塞ぐように、彼の手が壁を突く。
通せんぼをされてしまった。

なんとか涙を我慢した目で桜木くんを睨む。
負のオーラをめいっぱい込めた。


「悔しい?」


彼が首を傾げながら聞く。真顔だった。

この期に及んで、いったいなにを言っているのか。さらに目を鋭くさせて彼を見た。


「桜木くんはきっと、女子力がどんなものかわからないだけだから」


精一杯の強がりだった。私も実はわかっていない。でも、そう言うよりほかになかった。

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