クールな同期と熱愛はじめ
「そう?」
彼は目を丸くした。
「それなら宇佐美ご自慢の女子力とやらで、俺のことを落としてみてよ」
「……え?」
桜木くんが挑発的な目で私を見る。
「俺を好きにさせることができたら、宇佐美の願いをなんだってひとつ聞いてやる。“死ね”以外ならね」
言っていることがちんぷんかんぷんだ。
お酒を飲んで頭がどうかしてしまったか。
「……なんなのそれ」
「その代わり、それができなかったら、設計部から異動しろ」
「は!?」
とんでもないことを桜木くんが言いだした。
しかもニコリとも笑っていない。大真面目に言っているようだった。
「部内コンペで負けるたびに恨みを持たれていたら適わない。いい加減、設計のセンスがないと諦めて、別の部署に異動した方がいい」