クールな同期と熱愛はじめ
照明の落とされた薄暗い店内は、外から見るよりは広い。
真正面にカウンター席が五つとテーブル席が三つ、そしてなぜか左手には卓球台。しかも、そこだけを照らすようにオレンジ色のスポットライトが当たっている。
壁や棚には、どこの国のものなのか怪しげなお面や置物がところ狭しと置かれていた。
まさに“多国籍”だ。
「あれ? もしかして悠里ちゃん?」
突然、自分の名前を呼ばれてハッとする。
カウンターにいる人物と目が合った。
「……間宮さん?」
「そうそう、俺だよ、間宮仁志だよー! なんてミラクル!」
間宮さんが抑揚をつけて歌うように言う。
先週末の合コンにいた、“パグ似”の間宮さんだったのだ。顔をくしゃくしゃにして笑っている。
そういえば自己紹介のときに、飲食店を経営していると言っていたっけ。それが、この店だったのか。
「それで、こちらの女神は?」
胡桃を見て、間宮さんの目がキラキラと輝く。