クールな同期と熱愛はじめ
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名残惜しそうにする間宮さんに見送られ、本場のインドカレーを堪能した私と胡桃は店を出た。
「絶対にまた来てね」と懇願されたけれど、きっとそれは胡桃に向けてのものだろう。
胡桃が去り際に「もう一度撫でさせて」と言うと、間宮さんは尻尾を振るがごとく頭を差しだした。本当に犬みたいだった。
駅に向かって歩いていると、不意に私たちの隣に人が並ぶ。桜木くんだった。
「桜木くんも帰るの?」
胡桃は上体を前へ倒して、私の隣を歩く彼に聞いた。
桜木くんが短く「ああ」と答える。
「間宮さんって面白い人だね。いつもあんな感じなの?」
「テンションが低いアイツは見たことがないな」
いつもあの高さを維持しているとは驚きだ。
自宅に隠しカメラを仕込んで、ひとりでもそうなのか見てみたい気もする。
「北原もなかなか面白いけどな」
「え? 私?」
胡桃が自分自身を指差して小首を傾げる。