クールな同期と熱愛はじめ
◇◇◇
晴らしきれない気分のまま午前中が過ぎ、お昼の時間となった。
いつもそうしているように三階にある社員食堂へ向かうと、長い行列の最後尾に並ぶ胡桃(くるみ)――北原胡桃の姿を見つけた。
ツンツンとその背中を突く。
胡桃は振り返った途端、頭を三十度ほど傾けた。
「ん? どうしたの? 私とキスしたいの?」
唇を突きだした私の顔を見て、彼女が大真面目な顔をして言う。
どうして私が胡桃とキスなんて。
さらに唇を尖らせると、彼女は猫のように丸い目を閉じて顔を近づけてきた。
ペチッとその額を叩く。
「いったぁーい」
「キスじゃないってば」
「えー? そうなの? それじゃなぁに?」
彼女は、今度は反対方向に頭を傾けた。そしてその直後、大きな瞳に鋭い光を宿す。
「あ! わかった! また桜木くんに負けちゃった?」