クールな同期と熱愛はじめ
◇◇◇
……嘘。やだ、なにこれ。喉が痛い。頭も痛い。ついでに体が異様なまでに重い。
ベッドの中で天井を見るとグラングランと揺れる視界。まさかと思いつつ額に手を当ててみれば、鉄瓶にでも触れたようにじゅっと音がしそうなほど熱かった。
――私、風邪ひいたの!?
もしかして昨夜の雨のせい?
この私が、雨に濡れたくらいで風邪を?
信じられなかった。子供の頃、運動会の練習が嫌で風邪をひけば学校を休めるからと、わざわざ雨に濡れたことがあるけれど、一向にひけなかったというのに。
仮病を使おうと体温計をコタツの中で温めて壊し、学校をさぼるどころか親に怒られた苦い過去がある。
それなのに、どうしてこんなときに!
プラン設計がいい具合に進んでいるというのに。休んでいる場合じゃない。
しかし体を起こそうにも、倦怠感がひどくて起き上がれない。
こんなことなら、駅前のコンビニでビニール傘を買うんだった。何本増えようが、風邪をひくよりはずっとましだったのに。
頭痛に交じって後悔が頭の中をぐるぐると駆け巡る。ただ、そうしたところで体調が回復するわけじゃない。仕方なしにベッドサイドに置いていたスマホに手を伸ばし、休むことを会社に連絡した。
プラン設計の締め切りは来週の火曜日。それに間に合うかが、なによりも心配の種だった。
朦朧とする意識の中、ペットと快適に暮らせる家に思いを馳せつつ、次第に眠りの波へとさらわれていった。