クールな同期と熱愛はじめ

落ち込んだまま箸を手にしたときだった。
テーブルに置いていたスマホが、ヴヴヴと振動を伝える。
ディスプレイを見てみれば、それは高校時代の友人である美香から合コンのお誘いメールだった。しかも、今夜だという。
これはもしや、急きょ欠員が出て、手当たり次第に募集をかけているのかもしれない。

合コンか……。

仕事はうまくいかない、彼氏もいない。ないないづくしの私。仕事がダメなら、せめて彼氏くらいという思いが急激に湧いてきた。

彼氏でもいれば、仕事でちょっとくらい嫌なことがあっても我慢できるに違いない。
それに、嫌なことがあれば、彼に慰めてもらうことだってできる。

ここ数年、設計にばかり没頭していたせいで、すっかり男っ気がなくなってしまった。
そろそろ心に潤いを与えるときかもしれない。

美香へのメールにオッケーの返事をすると、すぐに場所と時間の返信がきた。


「今夜、彼氏つくってくる」


唐突に宣言すると、胡桃はそれに突っ込むわけでもなく「うん。頑張ってね」と私に声援を送ってくれたのだった。

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