クールな同期と熱愛はじめ
「桜木くんも来てるとは思わなかった」
「そっちこそ」
桜木くんが自分の顎をクイッと持ち上げる。
「私はちょっと思いついたことがあって。桜木くんは?」
「俺は、性質の悪い宇佐美菌のおかげでプラン設計が間に合わなそうだからな」
「……それはどうもすみませんでした」
形ばかりの謝罪を言いながら、自分の席へと着く。パソコンが立ち上がるのを今か今かと待った。早く取りかかりたくて気持ちばかりが先走りする。
それを感じ取ったのか、桜木くんは「焦ったところでパソコンは早く動かないぞ」なんて言った。
「わかってますよーだ」
歯をイーッとさせて返す。
そうは言ったものの、パスワードの入力画面でミスタッチしてエラーが出た。焦っているのが見え見えだ。
慌てる私を見て、桜木くんは鼻を鳴らして笑った。
階段とスロープの組み合わせ。それを今回のプランに組み込もうと思いついたのだ。