部長が彼になる5秒前

そう打ち明けた私に、
部長は目を見開いて驚く。


「……それは、何故?」

それは……


「好きな人ができてしまったからです。」

そう答えた瞬間、
部長は私に背中を向け、ゆっくりと立ち上がる。しゃがみ込んだままの私と、部長との距離が少し空いた。

「分かった……そういうルールだったな。

佐野の頑張りは、きっと、これからその相手との恋愛に活かさるはずだ。」

と言って部長は、私とは逆の方向へ歩き出す。
< 113 / 139 >

この作品をシェア

pagetop