部長が彼になる5秒前
そう打ち明けた私に、
部長は目を見開いて驚く。
「……それは、何故?」
それは……
「好きな人ができてしまったからです。」
そう答えた瞬間、
部長は私に背中を向け、ゆっくりと立ち上がる。しゃがみ込んだままの私と、部長との距離が少し空いた。
「分かった……そういうルールだったな。
佐野の頑張りは、きっと、これからその相手との恋愛に活かさるはずだ。」
と言って部長は、私とは逆の方向へ歩き出す。