部長が彼になる5秒前
それからの3年間、
私は『Venus』に、情熱を注いだ。
水瀬チーフが居なくても、
絶対に、この雑誌を守っていく。
そのプライドを、雑誌企画課一同が持ち、
今の『Venus』がある。
オフィスの最寄り駅にある本屋では、
毎日、立ち読みをする女性を見かけ、
美容院へ行けば、
必ず1番前に置いてあるのが、
『Venus』になった。
私の仕事の全てが詰まった雑誌。
そのきっかけを作り出してくれた
水瀬チーフには、感謝しかない。
そして、同じように、私がこの春からチーフになる。
そこへ、部長として水瀬チーフが
戻ってきた。
不思議な縁を感じる再会だった。