部長が彼になる5秒前
誰って、それは……。
"朱里。"
一瞬、脳裏を掠めた人物を認識する。
部長……?
慌てて首をぶんぶん横に振り、
「まだ秘密!」
と絢に向かって答えた。
*
「部長か……。」
誘っても良いのだろうか。
企画完成の期限も迫ってきている為、花火デート自体なるべく早くする必要がある。
焦る気持ちを抑えながら、渋々部長へのメールを打つ。
いや、でも、"仮"恋人なんだし。
大丈夫、きっと協力してくれる。