along


将棋プロ棋士というのだから、当然将棋を指すのが仕事だ。
「そういえばテレビでやってるのを見たことがあるなー」(チャンネルを変えるときに素通りした)という人も多いだろう。
私もです。

じゃあ普段はどんなことをしているのかというと、一般人の感覚からするとびっくりするくらい休みが多いのだ。
おじちゃんの話によると、もし何もしなくても勝てるなら、月に二~三局将棋を指すだけでいいという。
幼稚園児の方がずっと過密スケジュールに思える。

ただ、何もしなくても勝てるわけはないから、勝つための研究やそれに基づく練習対局をする。
それは気の遠くなりそうな細かく深い作業で、永遠に終わりなんてない。
新しく誰かが見つけた手も、すぐに研究されて古くなる。
でも研究を続けなければ遅れを取って勝てなくなる。
だから逆に言うと、どれほど時間があっても足りないくらいなのだとか。
パソコンを使って指した将棋を解析し、定跡と呼ばれる過去の研究結果を見直し、最新の棋譜から情報を集め、独自の手を探し、対戦相手を分析し、実践的な練習対局を指し、合間に詰将棋(玉を追い詰める手順を考える練習問題)を解く。
一日数時間~十時間以上、それを何日も何年も。
研究以外にも、イベントに出演したり、解説をしたり、アマチュアに指導対局を行ったり、本や記事を執筆する人もいる。

直に「今日も休み?」と聞くと「うん」と答えることが多いけど、私と会っている時間を休みにしているだけなのだ。

順位戦(名人挑戦者を決める)を含むタイトルの棋戦は、竜王戦、叡王戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦、と全部で八つあって、それ以外にも一般棋戦と言われる大会がいくつかある。
そのほとんどはトーナメント戦(決勝はリーグ戦になるものもある)なので、早々に負けると対局数は減って暇になるし、どれもこれも勝つと忙しくなる。

棋士は対局料と賞金が収入のメインだから、初戦で負けた場合と勝ち上がってタイトル挑戦者になった場合では数十倍(場合によっては100倍以上)収入が変わってくるらしい。
ちなみに、タイトルを取った場合の最高賞金額は竜王戦の四千万円超え!
将棋指して四千万!

直の成績も簡単に調べられる。
だからおじちゃんに聞いてみたのだけど、

「王将はこの前ダメだったんだよ。でも王位はリーグに残ってるし、棋聖もいいところまで来てる」

とやっぱりよくわからなかった。
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