今度は日本を救います
「楓ちゃんが知っている通り俺は魔人と人間のハーフ。俺は人間の見た目で、バンゲルなしで魔法が2つ使えたから、まだ良かった。だけど俺の妹はそうじゃなかった」



佐伯さんの手が震えていたので、ギュッと握る。


幾分か落ち着いたみたいで、続きを話し始めた。



「俺と逆で魔人の見た目なのに、魔法は1つしか使えない。しかもバンゲルを付けないと。まだ人間の方が、魔人と比べたら扱いがマシだから俺は耐えられた。でも妹はそういうわけにはいかず、結論だけ言うと5歳の頃に殺された」



ギュッとより一層手を強く握り、今までやってくれたように頭をポンポンする。



「ありがと……あぁ、もう。そういう所が良くないよ、楓ちゃんは」



「急なお説教ですか」



「ううん、そうじゃないけど。ま、聞いてよ。……妹には俺しかいなかった。親からも出来がいい兄と、出来の悪い妹っていう扱い。こうなったのは全部親のせいなのに、本人達は知らんぷり。だけど小さいからどうすることも出来ない。俺はただ声をかけ続けることしか出来なかった。……無駄だったけどね」



「無駄じゃない。佐伯さんのした事は無駄じゃない」



何でもかんでも自分のせいにしないで欲しい。



「いくら佐伯さんでも佐伯さんのことを悪く言うのは許しませんよ」



「だからなんで君はそういう……とりあえず話が終わるまで一切喋らないで」



「はーい」



顔が赤くなったと思えば、真剣な顔で話すのを禁止された。


忙しい人だ。


とりあえず大人しく話を聞こう。

< 100 / 114 >

この作品をシェア

pagetop