リング
第1章 純愛、偽愛

四人の関係

2015/12/24

しんしんと積もる雪。頰に伝わる冷たさ。1人の男はある女をずっと待ち続けていた。
「しんくーん!ごめんしんくん!」
「全然大丈夫だよ」
「うそだ!頰冷たい」
女は男の頬に触れる。男ははにかみながらその手を包む。
「薊(あざみ)のためならどうってことないよ」
「しんくん…」
女は幸せそうに男の顔を見つめる。2人の幸せは絡み合い強く結ばれた。
「薊…今日ってクリスマスだろ?」
「…うん。どうしたの?」
「今日は伝えたいことがあって呼んだんだ」
ふと女はある女の存在を思い出す。それは電流が流れたような痛みだった。
「しんくん…」
男は懐から何か取り出し、膝まづいた。
「薊…」
「え…?しんくん?」
「俺と結婚して下さい」
「っ!!」
女は言葉を失った。溢れる嬉しさと驚きとで。男の眼差しは真剣で、女の心を見つめるようだった。男が手に持つは指輪だった。
女の頬に涙が伝う。拭いながら女はこう言った。
「ありがとう…しんくん…」
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