今宵の月のように
物干し竿に洗濯物を全てかけると、リビングの方に視線を向けた。

「わっ…」

私は驚いた。

「な、何と言うことでしょう…」

床も見えないくらいに散らかり放題だったリビングがキレイになり、床が顔を出していたのです…。

久しぶりに床が出ているところを見たよ…。

あまりの変わりように絶句していたら、
「よし、こんなもんかな」

ほうきとちりとりを持っている彼はフンと息を吐いた。

それから私の方に視線を向けて歩み寄ると、
「いいか、もう2度と散らかすんじゃねーぞ。

今回は俺が特別に掃除してやったけど、次に散らかしたらお前が1人で掃除しろよ」

半ば脅すようにそう言ってきたので、
「はい、わかりました…」

私は呟くように、返事をした。

怖い、怖過ぎる…。

一体この人は何者なんだ…?
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