今宵の月のように
「あっ、おはようございます…」

そうだ、忘れてた。

この人がどう言う訳なのか家に転がり込んできて、同居生活が突然始まったんだ。

「今日は仕事休みなのか?」

ベッドから出ようとしない私に、宮本さんが声をかけてきた。

「…休みじゃないです」

ただ行きたくないだけです。

私はノロノロとベッドから出ると、着替えを手に持って洗面所へと足を向かわせた。

顔を洗って軽くメイクをして着替えを済ませると、リビングに戻った。

「おおっ…」

テーブルのうえに並んでいる料理に、私は驚いて宮本さんを見た。

「冷蔵庫の中、何にもないに等しかったぞ。

あったのはビールとチューハイとツナ缶だけ、電気代の無駄遣い」

「なっ…!?」

すみませんね、夜遅くに帰ることが多いので料理は全くと言っていいほどやらないんですー。
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