今宵の月のように
「お前も仕事があるんだし、俺も急いでいるんだ。

早く食べろ、冷めるぞ」

そう声をかけてきた宮本さんに、
「あ、はい…」

私は首を縦に振ってうなずくと、たまご焼きを口に入れた。

しょう油と砂糖で味つけされたたまご焼きはとても香ばしくて美味しかった。

ホウレン草のみそ汁も文句のつけようがないくらいに美味しくて、あっと言う間に平らげてしまった。

「後片付けは俺がやっておくから」

朝食を食べ終えた私に宮本さんが空っぽの食器を片づけた。

「ありがとうございます…」

呟くようにお礼を言った私に、
「じゃ、今日も１日頑張れよ」

宮本さんはそう言い返すと、空っぽの食器を手にキッチンへと足を向かわせた。

私は椅子から腰をあげて立ちあがると、カバンを手に持った。
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