今宵の月のように
その日は満月で、とても輝いていたことを覚えている。
「――はあ、今日も終わったよ…」
腕時計に視線を向けると、後少しで10時になろうとしていた。
月末と言うこともあってか、ここのところは残業続きである。
今日は9時とまだ早い方だったけど、昨日は終電に飛び乗って、おとといは日づけが変わった頃に終わったためタクシーで家に帰ったのだった。
高緑こより(タカミドリコヨリ)、29歳。
後2ヶ月で30歳を迎えようとしている、しがないOLだ。
ドラマのような華やかな都会生活に憧れて、周りの反対を押し切って大学卒業と同時に田舎から上京した…のだが、理想とは全くと言っていいほど違い過ぎる現実にぶち当たって、上京したことを嘆いている日々を過ごしているアラサーだ。
田舎に帰ろう…と思っていると言えば思っているのだが、両親に縁を切られてしまったため帰りたくても帰れないと言う状況である。
「――はあ、今日も終わったよ…」
腕時計に視線を向けると、後少しで10時になろうとしていた。
月末と言うこともあってか、ここのところは残業続きである。
今日は9時とまだ早い方だったけど、昨日は終電に飛び乗って、おとといは日づけが変わった頃に終わったためタクシーで家に帰ったのだった。
高緑こより(タカミドリコヨリ)、29歳。
後2ヶ月で30歳を迎えようとしている、しがないOLだ。
ドラマのような華やかな都会生活に憧れて、周りの反対を押し切って大学卒業と同時に田舎から上京した…のだが、理想とは全くと言っていいほど違い過ぎる現実にぶち当たって、上京したことを嘆いている日々を過ごしているアラサーだ。
田舎に帰ろう…と思っていると言えば思っているのだが、両親に縁を切られてしまったため帰りたくても帰れないと言う状況である。