今宵の月のように
空を見あげると、月が出ていた。

「――ああ、今日は下弦の月か…」

銀色に輝く月に呟いた後、自宅へと足を向かわせた。

「ただいまー…」

1日分の疲労感を抱えながら自宅に帰ると、しょう油のいい匂いがしていることに気づいた。

「おう、お帰り」

リビングに顔を出すと、キッチンから宮本さんが迎えてくれた。

「ちょうどいいタイミングだったな」

そう言った宮本さんにテーブルのうえに視線を向けると、どんぶりいっぱいのラーメンがあった。

スープの色と匂いからして見ると、しょう油ラーメンのようだった。

「えっ、何で?」

「はっ?」

思わず声をかけた私に、宮本さんは訳がわからないと言う顔をした。

何で私がしょう油ラーメンを好きだってことを知ってるの?
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