今宵の月のように
いつの間にか、先ほどまでの疲労感がなくなっていることに気づいた。

「私、しょう油ラーメンが好きなんです…」

私は呟くように言うと、ラーメンをすすった。

「へえ、そうなんだ。

俺もしょう油ラーメンが好きなんだよ。

まあ、基本麺類は全部好きなんだけどな」

宮本さんはハハッと声を出して笑うと、ラーメンをすすった。

「うん、我ながら上出来だ」

宮本さんはうんうんと、首を縦に振ってうなずいた。

突然始まった同居生活だけど、案外悪くないのかも知れない。

“至れり尽くせり”とは、まさにこう言うことを差すのだろう。

「ああ、洗濯物だけど」

「はい?」

「下着以外は畳んでベッドのうえに置いたから」

宮本さんのその言葉にベッドのうえへと視線を向けると、ちゃんと畳まれた洗濯物がそこにあった。
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