今宵の月のように
「宮本さん?」

ベッドから降りると、彼の姿を探した。

バスルームにキッチン、トイレ、リビング…と狭い部屋の中を探し回ったが、宮本さんの姿はどこにもいなかった。

休みだから、彼もどこかへ出かけて行ったのだろう。

「まあ、いっか…」

ここにいるのは私1人だけだ。

と言うか、元々私が1人で暮らしていたのだ。

そこへ宮本さんが勝手に転がり込んできて、半ば強引に一緒に暮らし始めた…と言う訳である。

私にもプライベートがあるように、宮本さんにだってプライベートがある。

宮本さんがどこへ出かけて何をしようが、それは彼の勝手だ。

「何にもすることないし、久しぶりにあれをやるか」

私はうーんと両腕をあげて伸びをすると、パジャマからTシャツとリラコに着替えた。
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