今宵の月のように
「でもさ、現実は理想と違うことだらけ。

毎日のように仕事に追われて夜遅くに家に帰って、休みの日は昼過ぎまで寝ているか朝から飲んでいる…みたいなそんな生活。

私が思い描いていた華やかな都会生活とは全く違い過ぎるの」

自嘲気味に言って、私は息を吐いた。

「都会生活に憧れて両親の反対を押し切ったバチが当たったのかなー、なんて。

おしゃれなカフェでのモーニングとか仲のいい友達とおしゃべりをしながらのランチとかタラレバを語りあいながらの女子会とか、ネイルやエステに行って女子力を磨いて合コンで素敵なイケメンをゲットして…」

ポタリと、私の目から涙がこぼれ落ちた。

「華やかに、だけども楽しい都会生活を送ることが夢だったのに…。

なのに現実は仕事に追われて、日づけが変わった頃に帰るのもザラじゃなくて…。

理想とは全く違い過ぎて…もう、結局何が何なのかわからないよ…」

ポタポタと頬を伝って落ちる涙に逆らうことができなくて、私は泣いた。
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