今宵の月のように
「若いって…私、29歳よ?

後少しで誕生日がきたら30歳になるし、これが若い訳ないじゃないのよ」

そう言った私に、
「俺に至っては38だぞ。

後2年で40になるんだぞ」

宮本さんが言い返した。

「2年って、まだ時間があるじゃないの。

私なんか後2ヶ月よ?」

「あー、はいはい。

もうこの話は終わりにするぞ」

宮本さんがポンポンと私の頭をたたいてきたので、私は口を閉じた。

「とにかく仕事を辞めて、これからの人生を好きなように好きなだけ楽しめ。

また働きたくなったらハローワークにでも通って就職先を見つければいいだけの話だ。

これが俺からのアドバイスだ」

「うん…」

ぶっきらぼうのくせに、キレイ好きのくせに…でも意外にも面倒見がいい彼に、私の心臓がドキッ…と鳴った。
< 39 / 105 >

この作品をシェア

pagetop