今宵の月のように
5・新月の夜は何も見えない
――この近所にテロリスト集団が潜伏している。

その話を聞いてから、今日で1週間を迎えた。

「――ッ…」

閉じていた目を開けると、カーテンが閉まっているのにも関わらず部屋は明るかった。

枕元のスマートフォンに手を伸ばして時間の確認をすると、
「――13時か…」

すでに昼は過ぎていた。

もう少し寝ていようかなと思ったけど、かなり眠ってしまったのでもうこれ以上寝るのは無理そうだ。

ベッドから躰を起こして部屋の周りを見回したが、そこに宮本さんはいなかった。

「――またいない…」

1週間前に会社を退職して、いわゆる“ニート”になって気づいたことなのだが…宮本さんは日中はいつも留守にしている。

そりゃ、そうか。

こっちは退職してニート生活をやってるけど、彼は働いているから常に家にいる訳ではない。
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