今宵の月のように
閉じているカーテンを開けると、真夏の太陽の日差しが目に入ってきた。

「暑いなあ…」

そう呟きながら窓を開けると、セミが鳴いていた。

――宮本さん、どこで何をしているのだろう?

真夏の太陽を躰に受け、セミの声を聞きながら、私はそんなことを思った。

知っているのは名前と年齢だけで、後は何をやっているのかとかの詳しいことは教えてくれなかった。

と言うよりも、ごまかされてしまったと言った方が正しい。

「洗濯しよう」

昨日は久しぶりに映画に出かけて流行りのカフェでおしゃれなランチプレートを食べて家に帰ってきたため、洗濯をしなかったのだ。

1人暮らし――と言っても今は同居してるけど――だし、1日くらい――服や下着は別に分けて個人で洗濯をしている――やらなくても別にいいかと思ったから昨日はやらなかったのだ。

ベランダから離れると、洗面所へと足を向かわせた。
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