今宵の月のように
夕方になると、洗濯物は乾いていた。

それを全て取り込んで片づけると、夕飯の準備を始めた。

と言っても、料理は始めたばかりなのでレシピサイトを見て手探りの状態で勉強しながら作っていると言う状況だ。

「よし、できた」

今日の夕飯はチーズたっぷりのピーマンの肉巻きだ。

我ながら上手にできたなと自分でも思った。

後は宮本さんが帰ってくるのを待つだけである。

そのはずなんだけれども、
「――遅い…」

そう呟いてスマートフォンで時間の確認をすると、7時を過ぎていた。

仕事を辞めてニート生活になってわかったことなのだが、1日の時間の進み方が遅いと言うことである。

働いていた頃は1日の時間がものすごく早く進んでいるんじゃないかと思ったが、仕事を辞めて家で過ごすようになると時間の進み方が遅いものである。

それはあくまでも個人の感じ方なんだけれども。
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