今宵の月のように
宮本さんは彼と会話をしているが、その会話は私の耳に入ってこなかった。

場所が場所だからと言うこともあるかも知れないけど、お互い声をひそめて話しあっていると言うことも関係していた。

何の話をしているのだろう?

そう思った時、
「――ああ、そろそろだな」

宮本さんの声が聞こえた。

そろそろって、ええっ…?

「近いうちに決戦の準備をする。

詳しいことはまた後日、今はそれの準備をするようにと言ってくれ」

「へい、わかりました」

そう言って話を切りあげると、2人は別れた。

彼らは私が見ていたことに気づいていないようだった。

私はベランダから離れると、リビングに戻って椅子に腰を下ろした。

「ただいまー」

宮本さんが帰ってきた。
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