今宵の月のように
6・その時は、おかえりと言って
――ああ、そろそろだな

それは一体、何を差している言葉なのだろうか?

もしかしたら…いや、もしかしなくても宮本さんは…?

お風呂から出ると、宮本さんはベランダにいた。

私はベランダにいる彼の元に歩み寄ると、
「宮本さん、お風呂空きましたよ」
と、声をかけた。

宮本さんは私の方に視線を向けると、
「ああ、もうちょっとだけ待っててくれ」

そう言うと、また外の方へと視線を向けた。

警察がいるかどうかの確認をしているのだろうか?

「――あの、宮本さん」

私が声をかけると、
「何だ?」

宮本さんは外に視線を向けたまま、聞いてきた。

「1つだけ、聞いてもいいですか?」

そう聞いた私に、
「内容によっては答えないぞ」

宮本さんは言い返した。
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