今宵の月のように
内容によっては答えないって…。

「やっぱり、教えてくれないんですか?」

そう言った私に、
「何が?」

宮本さんは訳がわからないと言うように聞いてきた。

「――あなたの正体ですよ」

私がそう言った瞬間、宮本さんはようやく外から私の方へと視線を向けてくれた。

「一体、あなたは何者なんですか?

どうして教えてくれないんですか?」

「…それが聞きたいことか?」

そう聞いてきた宮本さんに、私は首を縦に振ってうなずいた。

「あなたは何者なんですか?

やましいことがなければ、教えてくれたっていいじゃないですか!

それとも…」

「――ごめん…」

何故だか急に謝ってきた宮本さんに、私は口を閉じた。
< 64 / 105 >

この作品をシェア

pagetop