今宵の月のように
「――こより…」

宮本さんが私の名前を呼んで、
「――ッ…!」

唇を重ねてきた。

肉づきのいい熱い唇の感触に、だんだんと意識が遠くなって行く。

唇を離すと、宮本さんと目があった。

私と目があった宮本さんはその目を優しく細めると、
「――好きだ…」

ささやきかけるように、そう言った。

その瞬間、ドキッ…と私の心臓が鳴った。

彼に対する思いと愛しさがあふれてきて、
「――私も、好きです…」

自然に、私の唇からこぼれ落ちた。

宮本さんは微笑むと、また私と唇を重ねた。

例え、彼がどんな人だったとしても構わない。

私は彼の全てを受け入れて、待つことを決意したのだ。

もう、大丈夫だから…。

彼の熱を躰全部で受け止めながら、意識を飛ばした。
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