今宵の月のように
「安いですね」

そう言い返した私に、
「やさぐれるな。

俺は女に何をプレゼントすれば喜ぶのかわからないんだよ。

前の彼女の誕生日に図書カードをプレゼントしたら、“親戚のおじさんみたい”だって言って呆れてた」

そのことを思い出したのか、宮本さんはやれやれと息を吐いた。

「図書カードはいくら何でもないですよ」

私が言ったら、
「だから、何をプレゼントすれば喜ぶのかわからないって言ってるんだよ」

宮本さんは何クソと言うように言い返してきた。

「で、誕生日はいつなんだ?」

そう言って、宮本さんは話題を戻した。

「9月8日です」

私が自分の誕生日を言ったら、
「なるほど、聖母マリアと同じか」
と、宮本さんが言った。
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