今宵の月のように
9・ハッピーバースデー
――必ず帰ってくる

その約束がかなうのは、いつになるのかわからない。

でも、もう決めた。

私は宮本さんの帰りを待つって決めたから。


その約束を交わしてから数日が経った朝のことだった。

「――んっ…」

カーテンの隙間から差し込んできた日の光に目を開けた。

枕元のスマートフォンに手を伸ばして時間の確認をすると、11時を過ぎたところだった。

当然のことながら、部屋に宮本さんはいなかった。

今日は帰ってくるのだろうか?

彼が部屋にいない時、私はそんなことを思うようになった。

昨日、おととい、その前も宮本さんはちゃんと帰ってきたけれど…今日はどうなるのかは私もわからない。

「――早く帰ってこないかな…」

そう呟いてスマートフォンを枕元に戻したとたん、コツンとスマートフォンが何かに当たった。
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