今宵の月のように
「――ッ…」

ぶっきらぼうでキレイ好きで、だけども面倒見がいいくせに…。

「――キザ、かよ…」

誕生日プレゼントがガラス玉の指輪だなんて…。

しかも、左は戻ってきた時のために取っておいて右につけろって…。

「どんな誕生日プレゼントよりも、嬉しいよ…」

そう呟いて、彼の手紙に書いてある通りに右手の薬指に指輪をはめようとした。

だけど、
「指輪、小さい…」

子供用なのか、指輪は小さかった。

第一関節のところで止まってしまった指輪を外すと、私は小さく笑った。

本当に、女の扱い方みたいなのがわかっていないみたいだ。

「それでも、嬉しいけどね…」

宮本さんがプレゼントしてくれたガラス玉の指輪を見ながら、私は呟いた。
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