今宵の月のように
どこのチャンネルもテロリスト集団逮捕の話題で持ち切りだった。

彼らは政治目的で襲撃をしようとしただの海外へ逃亡しようとしていただのといろいろと報道されたが、その中で私が最も欲しいと思っている情報が出てくることはなかった。

「――宮本さんは、テロリスト集団のメンバーじゃなかったの…?」

何事もなかったように次のニュースを伝えるテレビの画面を見ながら、私は呟いた。

メンバーはメンバーでも、1番下っ端だったのだろうか?

それとも、宮本さんはどこかへ――それこそ、海外へ――逃げたと言う可能性もある。

「――戻ってくるよね…?」

そう呟いて、首にかかっているガラス玉に視線を落とした。

必ず生きて戻ってくると、宮本さんは約束をしてくれた。

私、待ってるから。

おばさんになっても、おばあさんになっても、あなたが生きて戻ってくるのをずっと待ってるから。

その時がきたら、笑顔で“おかえりなさい”って言って迎えてあげるからね。
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