今宵の月のように
「ああ、そうだ」

宮本さんは思い出したように言うと、頭をなでていた手を離した。

何を思い出したのだろう?

そう思いながら、私は首を傾げた。

「俺がこよりに会いにきたのは伝えることがあったからなんだ」

そう言って宮本さんは3にしたその手を私に見せてきた。

「3つ、あるんですか?」

そう聞いた私に、
「簡単にまとめるならな」

宮本さんは言い返した。

「1つ目は、俺の正体について」

「えっ…?」

宮本さんの正体って、テロリスト集団じゃなかったの?

そう思っている私に気づいていないと言うように、宮本さんはスーツの胸ポケットから何かを取り出して私に見せてきた。

「…えっ?」

予想すらもしていなかったそれに、私は驚いた。
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