再会チョコレート
カイと離れてもうすぐ4年になる。
私は高校1年になった。
もうすぐバレンタインデーがやってくる。女子は好きな男子の話題で盛り上がり、男子も男子でもらったチョコの数を競い合うゲーム(?)を計画し興奮気味だ。
休み時間、小学校から一緒のユリが私の席へやって来た。
「ねえ、凛は今年こそ誰かにチョコあげるの?」
「うーん。特に。お父さんにあげるくらい」
「そういうのじゃなくて、好きな男子に!」
カイの顔が浮かんだ。
ん? なぜカイ? あれは義理チョコだ。このシーンで思い出す理由がない。
「いないよ、好きな人なんて。だから一応家族の分だけ用意しとく。おじいちゃんも甘い物好きだし」
「今、カイのこと想像したでしょー?」
鋭い。さすが長年の親友。ユリは私とカイの仲を知ってるので隠しようがなかった。
「それは想像もするよ。アイツ毎年バレンタインになると呪いのごとくチョコほしがってきたしさー。何がチョコ食べないと死んじゃう病だよっ。ホント子供みたい」
「本気でそう思ってる?」
ユリは半分からかい気味に言った。
「今まで何度も言ったし耳タコかもしれないけどさー、カイって絶対凛に気があったよ。じゃなきゃ毎年毎年そんな見え見えなウソ言ってチョコほしがらないって」
「ホント耳タコ。ないない。好きだったら引っ越したって私に会いに来るはずじゃん。だけど今まで全然だし」
「それは凛もでしょ」
「そうだけど、ただの幼なじみにわざわざ会いに行かないって。向こうだって私のこと気楽な男友達くらいに思ってただけだよ」
「男同士でチョコなんか交換しないでしょ、もう。ホントにいいのかなーそれで」
ユリがため息混じりに窓の外を見つめた。
「凛から離れて今頃どうしてるんだろうね、カイは」
「さあ」
ユリの視線を追って窓の方を見やると、はらりはらりと雪が降っていた。