再会チョコレート
記憶の中より成長したけどひと目で分かった。昔よく遊んだカイがそこにいた。この学校の制服ではないけど。
「どうして?」
「来年からここの生徒になるんだ。今日は編入の手続きに来てたんだけど、たまたま凛のこと見つけて。大丈夫?」
「う、うん。とりあえず魔手は退いた」
急な展開に脳処理が追いつかない。
まごまごしている私の目の前で、謎の先輩とカイはバチバチ火花を散らせていた。
「魔手呼ばわりひどくねー? って、それより何だよテメェは。人が真剣に告ってる最中に邪魔してくれちゃって」
「さっきから色々寒いのやめて下さいよ。それに凛には先約があるんで」
改めてカイの声を耳にし不覚にもドキドキした。声変わりしてる。
最後に会った時はまだ声変わりする前の少年ボイスだった。もう高校生だし当然のことなのかもしれないけど、その変化にある意味ショックを受けた。
カイはバカで子供っぽくてバレバレなウソを平気でつくどうしようもないヤツ。そう思ってたのに、先輩の視線から私を隠すように自分の背中をこっちへ向けるカイはとてつもなく大人っぽくて……。