残された時間

看護婦からは、「諦めないで。」
両親からは、「ごめんなさい。」

そんな言葉を度々聞いているうちに
あたしの顔からは笑顔が減っていった。

もう、悲しみも苦しみも
何も感じないようになった。
涙さえも出ない。


・・・・・


『はぁ・・・』

あたしは今日も深いため息を溢し、
窓の外を見る。

相変わらず空は青くて、小さい子の声はうるさくて。
あたしがいる世界とはまったく違う世界だ。

もう、生きている意味がわからない。
高校にも行けなくて、友人と連絡を取る事もない。
救いだったおばあちゃんは、去年他界した。

そんな事を一人で考えていると、
急に廊下が騒がしくなった。

『・・・・・?』

首を傾げながらドアの方を見つめた。
するとガラッ。っと勢いよくドアが開いた。

そこに立っていたのは、
髪をつんつんたてた、元気そうな男の子。

――時が止まった―――

おばあちゃん?
おばあちゃんが言ってた通りだよ。
人を好きになる時、
時が止まる―――。

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