残された時間

暖かい空気が二人を包む中、
沈黙を破ったのは男の子の方。

「あッ。すみません、俺、
部屋間違えました・・」

困ったように言う男の子。
あたしはハッ。として言葉を出す。

『そう・・・。
じゃあ、出てってよ。』

あたしって、可愛くない女。
心の中で叫びながらも、男の子を見る。

「あ・・はい。
すみません。」

行かないで。
そう思いながらも、冷たい視線を送る。

ドアが閉まりかけた時、
何処からか大きな声が聞こえた。

「幸助ッ」

ダダダッ。と音をたてながら女の子が走ってきた。

『いきなり失恋・・?』

小さく呟きながら二人の方を見た。

「あんた何処で道草してたのよ」

「わりぃ。」

男の子は罰が悪そうに謝った。
あたしがボーっと二人を見ていると、
女の子と目が合った。

「あっれー・・・。
可愛い子じゃない。幸助、どうゆう関係よ?」

ニヤニヤとした表情で女の子は聞いている。

「りさには関係ないッ」

『いや、あんたにも関係ないから。』

あたしがそう言った所で、女の子は笑い出した。

「面白い子ね。
あたし、池長理沙。
それでこいつが池長幸助。
あたしが19でこいつが17。
よろしくね」

どうしてあたしが・・・?
後ろでは、こいつって何だよ。と言う声が聞こえたけど、
返事をする事にした。

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