義理じゃないチョコ、あげます。
私、決めました。
街中が、バレンタイン一色に染まる季節。
店頭には山積みのチョコが並び、どこにいても聞こえてくるのはバレンタインのあの曲。
女の子は、手作りをするとか、何を作るとか、誰にあげるとか、そんな話題で盛り上がり。
男の子は、そわそわと女の子の話に耳を傾けたり、急に優しくなったりする。
そんな2月のはじまり。
朝の教室内で、女子の話題はそれで持ちきりで。
もちろん私も例外ではない。
「んー…今年は何作ろうかな…」
雑誌をパラパラとめくりながら、正面に座っている親友、アキに目を向ける。
アキの手には箱入りクッキー。
ちなみに、私の手作りである。
「なんでもいいでしょ。カナのはなんでも美味しいから」
目も合わせず、興味なさそうに言うアキ。
クッキーを食べる手は止まらない。
私はお菓子作りが大好きで、こんな風にお菓子をよく作っているのだ。
みんな美味しいと言って食べてくれるから、それがすごく嬉しくて。
普段から、人にあげたりしている。
だからバレンタインとはいっても、たしかに特別感は薄いのだが。
でもバレンタインだし、いろいろ考えちゃうのは仕方ないじゃない…
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