義理じゃないチョコ、あげます。
ああ、どうしよう。
私は、なんてタイミングが悪いの。
それは、スローモーションのように。
ゆっくりと、私の目に映っていた。
逃げなきゃ、とは思うのに、足が動かなくて。
そらさなきゃ、と思うのに、私の瞳は2人を捉えたままで。
2人の間に距離ができて
女の子の可愛い顔が、嬉しそうに微笑んだら。
「……っ……!!」
急に現実に引き戻された気がして、視界が滲んで。
私は、無意識に駆け出していた。
ヒロに、彼女なんていないはずだった。
少なくとも、昨日までは。
でも。
今日告白されて、付き合ったとしたら。
私が今見たものは、全て真実だ。
ヒロに、確認しなきゃ、わからない。
頭でそう思っても、
心は追いつかなくて。
…アキ。
私、ちょっとだけ遅かったみたいだよ。
ヒロにね、あんな可愛い彼女ができちゃった。
当たって砕けろ、なんて言うけれど。
私は…
もう、頑張れそうにないよ。