義理じゃないチョコ、あげます。








結局。


その日はずっと放心状態で。




授業の内容も、友達の話も。


何も頭に入ってこない。




ヒロの目を見ることもできなくて。


とっさに避けてしまうから…


きっとヒロも、こんな私の変化に気づいてる。


もちろんアキも、シュウくんだって。




それでも…


今はどうしようもできないの。








「…カナ」


「…」


「カナ!!」


「はっはい!…アキ、何?」


「もう、どうしたの…?」




アキが心配そうに見つめてくる。


もう、泣きそうだ。




「うん…。あの、ね。…ヒロに、彼女、できたのかもしれない」


「…え?」




頑張るって、言ったのに。


ごめんね、アキ。








「私、もう…どうすればいいのかわからない…っ!」








頭の中はぐちゃぐちゃで。


何も考えられない。









「…カナ」


「…」


「確かめないと、わからないじゃない」


「…うん」




…わかってるんだよ。




でも今は…


ヒロの目すら、真っ直ぐ見れないの。




「明日、見に行こう。そこでちゃんと確かめるのよ」


「…うん、そうだね…」








気持ちは沈んだまま。




その日は最後まで、ヒロの目を見ることができなかった。



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