義理じゃないチョコ、あげます。
少しムスッとして、また雑誌をめくる。
そこには、チョコのスイーツがズラリと並んでいて。
何にするか、悩むものの。
どれも美味しそうで、決められないなあ…。
優柔不断な私は、やっぱりアキに決めてもらおうと、雑誌をアキに向けた。
「あーー!!」
突然の大声に、ビクリと揃って肩を揺らす。
教室のドア付近に目を向ければ、見知った顔が2つ。
「アキ、それカナのだろ!1人だけずりーぞ!」
そう声を上げて、ズカズカ近づいてきたと思ったら、アキの手からクッキーがさらわれて。
瞬く間に1つ、その大きな口へ消えていった。
「ヒ、ヒロ…おはよう」
「ちょっとヒロ!あたしのクッキー返せ!」
圧倒されながら、とりあえず挨拶したけれど、聞こえたかどうか。
アキは叫んで、クッキーを取り返そうとする。
ああ、また始まった…。
そう思ったのは、私だけではない。
「また始まったな…」
「あ、シュウくん。おはよー」
「おはよ」
さっきまでヒロと並んでいたのが、このシュウくん。
眼鏡が似合う、なかなかのイケメンだ。