義理じゃないチョコ、あげます。




…すごく、楽しそうだなあ。




ヒロは終始、笑顔だった。


ドリブルするときも、パスしたときも。


ディフェンスに阻まれたときでさえ。




追い詰められてきていたはずなのに…


それを、跳ね返すように。





本当に、強い人だと思う。




それから…




誰よりバスケが、大好きなんだと。


そう言っているような気もしてくるから不思議。








また、攻守が入れ替わり。


また、入れ替わる。




そしてこちらの攻撃。


もう、ほとんど時間はない。


決めることができれば、きっと決勝点になる。




深呼吸をして、肩の力を抜いて。


祈りながら、大きな声で応援する。




今はシュウくんのボール。


進んでいったが、相手ディフェンスに引っかかってしまった。




周りもディフェンスに邪魔されて、うまく動けず。


やばい、と思った。








そのとき。




外からぐるりと回って、一瞬でゴール横にたどり着いたのは。








「…ヒロ…!」








シュウくんが素早いパスを出し、ボールがヒロの手に渡る。


ディフェンスが遅れた隙をつき、ヒロが思い切り飛び上がって。




綺麗な弧を描いたボールは、ガンガンッと音を立てた末…








リングの中へ、吸い込まれていった。







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