義理じゃないチョコ、あげます。
「ヒロとアキは…いつもやって飽きないのか」
「あははっ、でもうれしいよ、私のお菓子取り合ってくれるんだから」
…毎回の喧嘩は、そろそろ勘弁してほしいけど。
結局、2人でモグモグ食べ始めてるし。
「あ、カナ、バレンタインこれ作んの?」
「ん?」
ヒロの手には、さっきアキに見せようとした雑誌。
たまたま開いてたページを見たのかも。
「あ、いや、まだ決められなくて」
「じゃあ俺これがいい」
「え」
雑誌を覗くと、そこには定番中の定番、ガトーショコラ。
「カナが作ったやつ、食べたい」
ヒロはニッと、白い歯を見せた。
…絶対絶対、無自覚だけど。
そんなに整った顔で、そんなことを言われて。
おまけに眩しい笑顔を向けられたら。
「〜〜〜〜っ、わかったよ…っ!」
真っ赤になったって、仕方ないじゃん……っ!!
顔を見られないように、俯いてるけど。
視線をビシビシと感じる。
アキとシュウくんは、きっとニヤニヤしてるんだろう。
もう、恥ずかしすぎる。