義理じゃないチョコ、あげます。
…どくん。
鼓動がどんどん速くなっていく。
息苦しいのに、頬の筋肉がどんどん緩んで。
驚きよりも、焦りよりも。
はるかに喜びの方が大きくて。
…泣きそうなくらい、嬉しくて。
「…何、言ってるの…!」
言葉とは裏腹に、口角をあげてこたえてた。
「あ、カナ、信じてねーだろ…!」
「そんなことないよ!嬉しいから!」
「…どうだか」
不満そうなヒロは、少し歩くスピードを上げる。
「あ、待ってよ〜」
それでも、私の頬は緩みっぱなし。
…だって、知ってるから。
本当に恥ずかしいとき、頭をかくその癖も。
照れ隠しで、行動が速くなることも。
…やっぱり、私。
この人以外は、考えられない。
くだらないことで、笑いあって。
なんでもないような話を、たくさんして。
小さなことで、喧嘩して。
ごめんって言い合って、仲直りして。
こんな風に、隣に並んで同じ道を歩いて。
そんな、普通の毎日を送りながら…
私の隣には、いつもこの人がいてほしい。
隣を見れば、そこにいるのはいつだって
…この人が、いい。