義理じゃないチョコ、あげます。
今なら言える、と思った。
今しかない、と思った。
私は震える手で、あるものを取り出す。
「…ヒロ、これ!」
勢いよく、突き出した箱。
足を止めて振り返ったヒロは、びっくりしながらそれを見つめて。
とても嬉しそうに笑った。
「お、やった!」
私のところまで引き返してきて、受け取ってくれる。
そして早速、箱をあけて。
「さっすがカナ!リクエスト通り!」
また、嬉しそう。
作っているときは、渡せるかすら不安だったけど。
作ってきて、よかった。
…よし、ちゃんと渡せた。
そしたら、次にやらなきゃいけないことは…
心臓の音が、やけに大きく聞こえて。
ヒロの顔を見るだけで精一杯で。
周りの音が、何も聞こえなくなる。
それでも。
頑張るって、決めたから。
何度も何度も、アキに背中を押してもらったから。
あなたのことが、大好きだから。