義理じゃないチョコ、あげます。
「ってか」
アキがハッとしたように声をあげる。
「土曜じゃない」
「何が?」
「バレンタイン」
「え、そうなの?」
確認すると、たしかに14日は土曜日。
「じゃあ、当日渡すのは難しいかなあ…」
「練習試合、見に来れば?」
「うわあっ!」
振り返ると、いつからいたのか、シュウくんがこちらを見つめていた。
「…そんなに驚かせるつもりじゃなかったんだけど」
「あはは、ごめん…」
周りを見ても、どうやらそこにいたのはシュウくんだけのようで、とりあえず胸をなでおろす。
「シュウ、どういうこと?」
「ああ、14日は俺ら練習試合があるんだよ」
ヒロとシュウくんは、2人ともバスケ部所属。
その練習試合が、うちの学校であるそうで。
「午前中で、その後なら時間作れるし。ヒロに渡すんだろ?」
シュウくんは、ニヤリと笑って私に言う。
…やっぱり聞いてたんかい!
「安心しろよ、ヒロはあっちにいるから」
「わかってるよ、もう!」
シュウくんは絶対にドSだと思う…!
アキと手を組んだら、手がつけられないし。